「消えた腕時計、でも本当に必要ない？ネクタイと共に考えるメンズファッションの変化」

ネクタイと同様に、最近の男性ファッションにおいて見かけなくなったものの一つに腕時計の存在があるのではないだろうか。

 

スマートフォンの普及により、腕元で時間を確認する必要が減ってきたことも要因の一つだ。腕に装着する場合でも、機能を連動させることができるスマートウォッチが選ばれるようになってきたのかもしれない。

 

私も、20年ほど前までは日本製のアンティーク腕時計を収集しており、ブログを書いていた。その当時のコレクター仲間が、なんと私の結婚式にも参列してくれたという思い出もある。

 

確かに、街中で腕時計をしている人は少なくなったし、機械式腕時計の価格も当然高騰した。しかし、「腕時計がなくなったのか？」と聞かれれば、決してそうではない。

人に見せるためという側面もあるが、何よりも時間を確認するときに、ゼンマイの力で滑らかに動く秒針を見ると、日常の中でも気分が上がる。そういった役割を果たしてくれるのだ。

 

絶対的に必要なものではなくなったからこそ、かえってラグジュアリー感と言えばいいのだろうか、他者との差別化を図るアイテムとして格上げされたように感じる。

 

今の時代、ネクタイも同様の役割を果たしているように思う。新品もアンティークも市場で高く評価される点や、ビジネスシーンで他のアイテムと比べても着用しても違和感を持たれない点は、腕時計と似ている。

 

かつては当たり前だったものが、時代の変化により特別なアイテムへと格上げされたネクタイと腕時計。余裕のある男性の身嗜みとして、また趣向品としての楽しみ方を提案していきたい。