有限会社稲垣製作所

『プリティ・ウーマン』に学ぶ、時代とファッションとちょっと不器用な恋の話

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『プリティ・ウーマン』に学ぶ、時代とファッションとちょっと不器用な恋の話

『プリティ・ウーマン』に学ぶ、時代とファッションとちょっと不器用な恋の話

2025/05/20

1990年に公開されてから30年以上たった今も、たくさんの人に愛されている映画『プリティ・ウーマン』を久しぶりに観ました。ジュリア・ロバーツとリチャード・ギアのコンビは、本当に文句なしの名演ですよね。

シンデレラ・ストーリー的な展開はもちろんのこと、ファッションや登場人物の何気ないやりとりがすごく印象的で、「あの頃の空気感」をバッチリ感じられる作品でもあります。

今回は、その中でも“ネクタイ”というちょっとマニアック(でもすごく意味深)な小道具に注目しながら、この映画の魅力をゆるっと語っていきたいと思います。

ハリウッド通りから始まる恋

舞台はロサンゼルス。主人公は、ハリウッドの路上で暮らすヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)。ある夜、高級車で道に迷っていた敏腕ビジネスマン、エドワード(リチャード・ギア)と出会います。

ちょっとした流れからその夜を一緒に過ごし、エドワードはヴィヴィアンに「1週間、自分の付き添いをしてくれないか」と持ちかけます。最初はビジネスライクな“契約関係”だったふたりですが、次第にお互いに惹かれていき…。

ざっくり言えば、ストリート育ちの彼女が上流社会の男性と出会って恋に落ちる、現代版シンデレラ・ストーリー。でも、それだけじゃないんです。ふたりの心の動きが、言葉や仕草、服装の細部からもすごく丁寧に描かれているのが、この映画の面白さなんですよね。

80年代→90年代への“ちょうどその頃”

この映画が撮影されたのは1989年、公開は1990年。まさに「80年代の終わり」であり、「90年代の始まり」の空気が混ざった時期です。

エドワードは、会社を買収してバラして売るという、いわば“冷徹系エリート”。このキャラ設定も当時のアメリカの雰囲気をよく表していて、いかにもバブル終盤のビジネスマンという感じ。

ファッションにもそれが表れていて、エドワードはダブルのスーツに派手めな柄のネクタイを合わせて登場するシーンが多いです。ちょっと肩が張ってて、パワースーツってやつですね。

ヴィヴィアンがネクタイを結んであげる

映画中盤、エドワードが出かける準備をしているとき、ヴィヴィアンがネクタイを結んであげるシーンがあります。ここ、個人的に大好きな場面です。なかなか最近はこの行為自体が見られないのが残念でもあります。

最初はちょっとぎこちない空気。でもヴィヴィアンがふわっとネクタイを手に取り、エドワードの胸元に手を伸ばすと、ふたりの距離がぐっと縮まるんです。

彼は普段、自分のスタイルも感情もキッチリ管理してるような人。でもこの瞬間、ヴィヴィアンにネクタイを結んでもらうことで、自分の殻が少し崩れていく感じがして…。ほんの数十秒のやり取りなんだけど、ふたりの関係がグッと深まる、名場面だと思います。

プレゼントとして選んだ1本

もうひとつ、素敵なネクタイエピソードがあります。ヴィヴィアンがエドワードのためにショッピング中にネクタイを選ぶシーン。

最初は差別的な目で見られていたこともあり、服を買うことにすら戸惑っていたヴィヴィアンが、今度は自分の意思で、彼のためにネクタイを選んであげる。この“気持ちの変化”が、すごくやさしく描かれていて、見ていてキュンとします。

選んだネクタイも、ヴィヴィアンらしいセンスが光る1本で、明るさと華やかさがありつつも上品。彼女の心の成長がそのままネクタイに表れてる感じがして、じんわりくるんですよね。

ホテルのマネージャー、バーニー

そしてこの映画の名脇役といえば、ホテルのマネージャー、バーニー・トンプソン(ヘクター・エリゾンド)。最初は「この人、絶対怖いタイプ」と思うんだけど、実はめちゃくちゃ良い人。

ヴィヴィアンに対しても、最初こそ警戒心があるけれど、ちゃんと話を聞いて、信頼して、しっかりフォローしてくれるんです。彼のちょっと厳しくて、それでいてものすごくあたたかい対応に、何度観てもホッとします。

特にショッピングをサポートしてくれるシーンや、マナーのアドバイスをさりげなくするところなんて、もう“理想のホテルマン”すぎます。ああいう人が現実にもいてくれたらいいなぁって思うほど。

ボウタイが語る、本気の時間

物語の後半、ふたりがオペラを観に行くシーンでは、エドワードがタキシード&ボウタイ姿で登場します。普段のビジネススタイルとは一線を画す、フォーマルでクラシックな装い。

この“ボウタイ”がまたいいんですよ。ネクタイとは違って、フォーマルで“特別な夜”を象徴するアイテム。つまりこの夜が、ふたりにとってどれほど大切で、意味のある時間なのかが、一目で伝わるわけです。

ヴィヴィアンも、あの有名な真っ赤なドレスに身を包んで、まるで別人のような美しさ。この瞬間、彼女がただの“お客”ではなく、本当の“レディ”として認められている感じがしていいですよね。

ネクタイが繋ぐ、ふたりの気持ち

『プリティ・ウーマン』は、ただのラブコメじゃないんですよね。当時のファッション、小物、空気感…そういう細かい部分が全部リンクして、登場人物の心情や関係の変化を表現している。

ネクタイもそのひとつ。
最初は「仕事の制服」だったものが、途中から「ふたりを結ぶもの」になっていく。その変化が静かに、でも確かに描かれているのが、この映画のすごいところ。

90年代のはじまりに生まれた、ちょっと不器用で、でも心があったかくなる恋の物語。今観ても、色あせないどころか、むしろ年齢を重ねるほどに刺さる作品です。

ぜひまた観返してみてください。今度は、ネクタイの色や形にも、ちょっと注目してみてください!

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